日本レーザー医学会誌
Online ISSN : 1881-1639
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40 巻, 4 号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
会告
一般
原著
光学ファントム・数値計算手法
原著
総説
産婦人科領域におけるレーザー治療
原著
  • 田坂 美恵, 金子 久恵, 甲谷 秀子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 4 号 p. 370-374
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/16
    [早期公開] 公開日: 2019/09/11
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    当院では,子宮頸部初期病変(上皮内癌または高度異形成)に対する子宮温存治療として,フォトフィリンPDT療法(以後,PDT療法)を,2004年から導入し81例に施行した.全例に再発は認めていない.そのうち27例が妊娠に至り,総妊娠数は46例である.今回PDT療法後に分娩した21例と,子宮頸部円錐切除術施行後に分娩した17例について,後方視的に周産期予後を比較検討したので報告する.結果は,円錐切除術後妊娠の初産婦は,早産率と緊急帝王切開率が高く,経産婦は分娩週数が早くなっていた.一方,PDT療法後妊娠の初産婦は,早産率は低いが,分娩時出血量が多いことがわかった.分娩時間について有意差は出なかったので,Friedman曲線を標準とした分娩経過図を示し,検討した.結果,PDT療法後分娩は,前駆陣痛期が長いが,分娩第1期は遷延しないことがわかった.一方,円錐切除術後の分娩経過は,標準と比べて早い傾向にあった.PDT治療後の妊娠経過は,早産に至った症例はなく良好と考える.更に分娩経過は,緊急帝王切開率が低く良い点もあるが,分娩時出血量が増加する傾向があるため,注意が必要である.今後も,PDT療法後の周産期予後の向上を目指して,より安全な管理を模索していきたい.

  • 水野 美香
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 4 号 p. 375-380
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/16
    [早期公開] 公開日: 2019/05/23
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    子宮頸部上皮内腫瘍は子宮頸癌の前駆状態であり,稀な疾患ではない.標準治療は,外科的切除であるが,この方法は早産率を有意に増加させることが報告されている.光線力学的療法(photodynamic therapy: PDT)は,子宮頸部上皮内癌に対しての低侵襲性治療である.従来法PDTは良好な治療成績が報告されているが,合併症である光線過敏症の懸念や,長期入院が必要なことから,普及率は低い.5-アミノレブリン酸は,アミノ酸の一種であり,増感作用を持つポルフィリン類の前駆物質である.我々は,子宮頸部上皮内腫瘍に対して,5-アミノレブリン酸とLED光源を用いたPDTの臨床試験を行った.

  • 村上 浩雄, 松家 まどか, 安立 匡志, 伊藤 敏谷, 柴田 俊章, 中山 毅, 岡崎 茂俊, 伊東 宏晃, 金山 尚裕
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 4 号 p. 381-385
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/16
    [早期公開] 公開日: 2019/11/23
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    【目的】子宮頸部上皮内腫瘍(cervical intraepithelial neoplasia: CIN)及び初期子宮頸がんは生殖年齢で多く認められる疾患である。それらに対する治療法として妊孕性温存に配慮した治療法の選択が求められる。その中で光線力学的療法(Photodynamic therapy: PDT)は非侵襲的で子宮頸部温存ができ治療成績は円錐切除に劣らない。今回,我々はタラポルフィンナトリウム(NPe6)を用いて9例のCIN症例に対しPDTを行いその治療効果と光線過敏症に対し評価することを目的した。

    【方法】CINと診断された9例に対しPDTを施行した。40 mg/m2のNPe6を静脈投与し,光線照射(100 J/cm2)を行った。

    【結果】CIN2が2例,CIN3が7例の計9例に対しPDTを施行した。追跡できた8例は照射後3か月後及び6か月後の検査で治癒を認めた。直射日光による皮膚光感受性試験では,1例が投与後28日まで皮膚光感受性を認めた。

    【考察】NPe6によるPDTはCINに対する有望な治療法であることが示唆された。

総説
獣医領域におけるレーザー診療
総説
  • 山田 英一, 住吉 浩
    原稿種別: 総説
    2020 年 40 巻 4 号 p. 393-398
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/16
    [早期公開] 公開日: 2019/05/11
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    獣医療におけるレーザー技術の発展を目的として,半導体レーザーを使用した新しい腸管溶接法を考案した.この研究のためにlaser welding鉗子(LW鉗子)と呼ばれる特別な腸鉗子を作成した.基礎研究において,犬および猫のレーザー腸管溶接は,LW鉗子と接触型プローブを使用して可能であることが確認され,臨床症例に適用できるものと考えた.猫巨大結腸症および小型犬の重篤な腸閉塞症に対して,レーザー腸管吻合術を施行した.短期および長期の臨床結果として,重度の術後合併症がみられず,すべての症例で良好な回復が得られた.

症例報告
総説
  • 岡本 芳晴, 山下 真路, 大﨑 智弘, 東 和生, 伊藤 典彦, 村端 悠, 柄 武志, 今川 智敬, 菅波 晃子, 田村 裕
    原稿種別: 総説
    2020 年 40 巻 4 号 p. 408-412
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/01/16
    [早期公開] 公開日: 2019/09/05
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    2010年,我々はインドシアニングリーン(ICG)をリン脂質成分に結合させたICG修飾リポソーム(ICG-lipo)を開発した.今回,動物の自然発症腫瘍38症例に対して治療成績を評価した.治療はICG-lipo(抗がん剤等内包)を点滴投与後,半導体レーザー装置を用いて患部に10~20分間光照射した.照射間隔は毎日~週3日で実施した.Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST)に基づく判定結果は,CR(Complete response):3例,PR(Partial response):13例,SD(Stable disease):18例,PD(Progressive disease):4例,だった.奏効率(CRおよびPRの割合)および有効率(CR,PR,SDの割合)は,42.1%および89.5%だった.特にリンパ腫の奏功率は85.7%と高値を示した.2症例以上ある腫瘍で,リンパ腫,血管肉腫以外は有効率が100.0%を示した.本治療を実施することにより,約半数の獣医師が一般状態の改善を認めた.このことは本治療法の有効性を示すものと思われる.

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