日本レーザー医学会誌
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症例報告
光線力学療法後のピンホール状食道狭窄に対する集学的内視鏡手技による治療
池田 貴文松井 裕史
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電子付録

2023 年 44 巻 2 号 p. 136-142

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抄録

光線力学療法(photodynamic therapy: PDT)は食道癌化学放射線療法(chemoradiotherapy: CRT)後再発に対するサルベージ療法として注目されている.有害事象の一つであるPDT後瘢痕狭窄の発生頻度は比較的高く,当院でも約30%に発生しており注意が必要な合併症の一つである.この発症はQOLを著しく低下させるためその解決は重要である.ほとんどの症例では内視鏡的バルーン拡張術(endoscopic balloon dilatation: EBD)でその狭窄の改善が得られている.しかし,レーザーの照射が広範囲であった場合や食道癌再発に伴う複数回のPDT症例においては難治性や高度狭窄の可能性があり,内視鏡的バルーン拡張術だけでは狭窄の開存が不十分な場合がある.このような症例に対する新たな狭窄解除術としてRadial incision and cutting(RIC)法が提案されている.RICは確実に瘢痕組織を除去でき,劇的な通過改善が得られる治療のため,患者の満足度は高い.一方,RIC後の再狭窄率は高く,予防的なバルーン拡張術の繰り返しやステロイド投与などの必要性も報告されている.本稿では当院でバルーン拡張やRICのみで治療困難なピンホール状狭窄を経験し,針状型ナイフ切開,バルーン拡張,RICを組み合わせて治療を行い有効であった症例を報告する.これらの症例ではこの治療によって良好なQOL改善が得られた.

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