抄録
He-Neレーザーおよび, He-Neレーザーと波長, 出力がほぼ等しい通常の赤色光をそれぞれStreptococcus sobrinusに照射し, 殺菌効果を比較検討した。He-Neレーザーは波長632.8nm, 出力6mw, 連続波で用いた。対照の赤色光としては, 2kWのキセノンランプから放射された光を4枚のフィルターを通過させて得られた波長632.0±3.0nm, 出力5mWの光を用いた。また, 嫌気状態でのHe-Neレーザーの殺菌効果を調べるために嫌気培養器内で照射した。殺菌効果はmitis Salivarius寒天平板上での増殖阻止帯を観察し判定した。
その結果, 通常の光によってもHe-Neレーザーの場合と同様に増殖阻止帯が認められた。また嫌気状態でHe-Neレーザーを照射しても増殖阻止帯は観察されなかった。
以上のことから, He-NeレーザーによるStreptococcus sobinusの殺菌作用は, 通常の光の場合と同様に, 色素, 酸素の存在下でのホトダイナミック作用であることが明らかとなった。