日本レーザー医学会誌
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皮膚接触式半導体低出力レーザー照射および鍼刺激が上肢末梢循環におよぼす影響
石丸 圭荘篠原 昭二和辻 直山際 賢北出 利勝
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1992 年 13 巻 4 号 p. 33-40

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抄録

低出力半導体レーザー照射および鍼刺激が上肢末梢循環に及ぼす影響を明らかにすることを目的として, 動脈走行部および神経走行部に一致して存在する東洋医学の経穴を刺激部位として検討した。またレーザー照射群に対するplacebo群を設定し比較検討した。
照射を知らせる信号音を有する皮膚接触式半導体低出力レーザー (Ga-Al-As, 波長780nm, 出力10mW, 連続波) 照射および鍼刺激部位は, 第1胸椎棘突起近傍部 (侠脊穴), 肘関節部で上腕動脈走行部 (曲沢穴)、手関節掌側中央部で正中神経走行部 (大陵穴) とした。上肢末梢循環の指標は, 示指血流董および手背・足背部の皮膚温とした。また, 測定時間は, 無刺激コントロール5分間, レーザー照射および鍼 (置鍼) 刺激を連続5分間行なったのち刺激後25分間の血流, 皮膚温の変化を観察した。またplaceboは信号音のみを聞かせ測定を行った。測定肢位は座位とした。
その結果, 照射音を有する皮膚接触式の半導体低出力レーザー照射は第1胸椎近傍部 (侠脊穴) で示指血流を有意に上昇させ, 血流蚤の増加に伴い手背皮膚温も上昇した。次に, 鍼刺激は第1胸椎棘突起近傍部 (侠脊穴) および上腕動脈走行部 (曲沢穴) 刺激で有意に示指洫流が増加し, 搬流の増加に伴い手背皮膚温が上昇した。一方, placeboではいずれの刺激部位においても示指血流および皮膚温の著明な変化を認めなかった。

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