子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)に対する治療として, レーザー蒸散法と円錐切除はこの10年間で大きく進展し, 一般臨床にその地位を確立してきた. レーザー手術手技とHPV感染に基づくCINの発症といった事項の詳細な知識の蓄積が, この発展に寄与している. 一方で結婚の高年齢化, 若年者の発症増加に伴う子宮温存の必要性は, 臨床医としてレーザー手術の知識と施行する能力の取得の必要性を押し進めている. さらに, 多くの臨床医が妊娠合併CIN例に対するレーザー手術の有用性を述べてきている. 我々はこの報告で妊娠例を含んでCIN症例に対するレーザー手術の当科での実際を, 特に適応, 手技, 管理に重点を置き報告する. これまで300例以上の症例に対してCO2, レーザー手術を施行し, 初回手術による治癒率は90%以上であった. 子宮摘出施行せず経過観察した症例の内, 再燃例は全例2回目のレーザー手術により治癒させることが出来た. このことはレーザー手術の有効性と安全性を示している. また, 我々が経験した妊娠合併子宮頸部上皮内腺癌 (AIS) についてもコメントする.