1988 年 8 巻 4 号 p. 11-17
家兎膀胱移植VX2 carcinomaに対し, hematoporphyrin derivative, 630nm argondye laser赤色光および当科で開発した新型光散乱機を用いたwhole bladder wall photodynamic therapy (integral PDT) を行なった。その結果 20-30 Joules/cm2のLight energyにより腫瘍細胞の変性壊死が認められた。この結果を基に, 広汎な膀胱上皮内癌や多発表在性膀胱癌を有する12症例に対し, 同様integral PDTを行なった。Light energyは1例を除き10-30 Joules/cm2を用いた。治療4週後にselected-site mucosal biopsyにより効果判定し, その後の抗腫瘍効果については, さらに尿細胞診, 内視鏡検査, 生検等により検討した。その結果治療4週後では12症例中8症例でCRが得られ, その後の追跡調査にて平均9.8カ月の観察期間で6カ月のmean tumor free timeにて6例に再発が認められなかった。