昭和医学会雑誌
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臨床報告
トスフロキサシン点眼液によると思われる強い副作用を発症した3例
綾木 雅彦谷口 重雄小出 良平
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2009 年 69 巻 2 号 p. 190-193

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抄録

点眼薬による副作用にはアレルギー反応や角膜障害などがある.われわれはトスフロキサシン点眼の使用直後に角膜沈着物や虹彩炎を生じた症例を3例経験したので報告する.症例1は88歳女性で,角膜上皮剥離に対しトスフロキサシン点眼1日3回処方した.翌日角膜に白濁が出現したとのことで受診し,角膜上皮剥離部分に白色沈着物を認めた.病変の掻破によって軽快した.症例2は78歳男性で,ヘルペス性角膜潰瘍でトスフロキサシン,アトロピン,ヒアルロン酸を処方したところ,1か月後の再診時,白色沈着物を認めた.点眼中止によって軽快した.症例3は75歳女性で結膜炎に対しトスフロキサシンを処方したところ,翌日より強い充血が生じ,10日後再診した際,フィブリン析出を伴う虹彩炎を発症していた.点眼中止とステロイド薬の点眼と内服で軽快した.以上,点眼薬によって重篤な副作用が生じ,点眼中止と対症療法によって軽快した症例を報告した.

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© 2009 昭和大学学士会
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