2012 年 72 巻 1 号 p. 128-132
鈍的外傷にて上殿動脈に仮性動脈瘤を形成することは比較的稀である.38歳男性.交通事故で受傷した.第8病日に不安定型骨盤輪骨折に対して観血的整復内固定術を施行したが,創部の術後感染症を発症し,連日創部洗浄を行った.第41病日に突然の臀部痛が出現し,画像診断にて上殿動脈仮性動脈瘤の診断となった.第44病日に動脈塞栓術を施行し,以後症状は消失した.外傷性仮性動脈瘤と感染性動脈瘤の鑑別は臨床的にも非常に困難である.仮性動脈瘤における動脈塞栓術は有効な治療手段である.