昭和医学会雑誌
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Thymoxamineの肝に及ぼす影響
第III報赤血球膜作用とラット単離肝細胞に及ぼす影響について
安原 一栗本 忠殿岡 まゆみ坂本 浩二
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1981 年 41 巻 5 号 p. 551-555

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抄録

α-アドレナリン遮断薬であるthymoxamine (Mox) とその主な代謝物であるdeacetyl-thy-moxamine (DAM) およびdeacetyl-demethyl-thymoxamine (Met-X) 並びにifenprodil (Ifen) の肝細胞への直接的な影響をラット単離肝細胞を用い, また赤血球膜作用をラット赤血球を用いて検討した.Moxとその主な代謝物であるDAMおよびMet-Xには赤血球膜作用およびラット単離肝細胞障害作用は全く認められなかった.Ifenは, 赤血球膜作用では僅かであるが溶血阻止作用と溶血促進作用が認められ, 単離肝細胞では1×10【-3】Mで対照の約2倍を示すGPT, LDHの酵素逸脱を認めた.以上の結果より, Moxとその主な代謝物であるDAMおよびMet-Xは, 肝細胞へ直接的な障害を与えることはないと考えられる.Ifenは, Mox, DAMおよびMet-Xよりも生体膜に対して影響を及ぼす可能性があると思われる.

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