抄録
46歳の主婦, 強度の呼吸困難にて入院, 入院時口唇チアノーゼ著明, 多量の泡沫状喀痰排出, 40分後に肺水腫にて死亡.剖検では大動脈および主分枝動脈の内腔は起始部より弓部大動脈にかけて拡張し, 胸部大動脈以下ではやや狭窄していた.組織学的には, 大動脈の外膜は結合織の増生が高度で内膜は肥厚していた.心臓は350g, 左室求心性肥大, 大動脈弁閉鎖不全の状態にあり, 内膜は肥厚, 心筋は断裂がみられた.肺は左肺750g, 右肺1, 100g, 著明な水腫がみられた.本例は35歳で初発症状発現後11年を経過し急性肺水腫で死亡した大動脈炎症候群の1例である.