抄録
ニワトリ体内での血栓溶解機能と, ニワトリ心臓から粗抽出して得た組織プラスミノーゲン・アクチベーター (t-PA) による外因系線溶の活性化について検討した。ニワトリ皮下に包埋したニワトリ血液凝塊あるいはトロンビン注射による血栓は速やかに消退した。ニワトリ新鮮心臓抽出液にはt-PA活性を認めたが, 62.5mM MgSO4抽出液とニワトリのプラスミノーゲン (Plg) とを混合して37℃4時間の加温後, CaCl2を加えたときにt-PA活性は最も強かった。EACAはこの反応系におけるPlg活性化に対する阻止効果が大きかった。以上からニワトリは, 血栓除去機能とt-PA活性化による線溶機構とを有していることが示唆された。