抄録
1) 迅速かつ簡便なCA測定法として, Hogansの考按せる螢光法に, 硼酸ゲルカラムの使用, 螢光発色法の改良など, 若干の工夫を加えた方法につきその精度を検討した.また尿および脳CA測定に本法を応用した.2) 本法による測定の精度 (回収率, 再現性, 感度) は良好であった.3) 硼酸ゲルカラム過程は1時間内, 測定時間も全体として3時間で充分であった.4) 本法と高速液クロ法との対比では, D, N, E各々, r=0.92, 0.90, 0.88と良い相関が得られた.5) 本法による正常人 (57例) の24時間尿のCA値はD120.3μ9/day, N33.6μ9/day.E9.3μ9/dayであった.6) 本法によりSHRとWRの脳CAを検討したところ, SHRではN0.18μg/g.D0.7μg/g, WRではN0.11μg/g, D0.5μg/gであり, N, DともSHRで高値を示す傾向があった.7) ゲージ固定ストレス下のSHRおよびWR, の脳CAを検討したところ, NおよびDともにストレス15分では変化なく, 60分で減少を示した.またNはSHRがWRより大であった.8) 以上より, 本法は尿および組織CAの測定法として簡便かつ迅速であり, 充分実用に耐えうることが示唆された.