昭和医学会雑誌
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X線コンピューター断層撮影法による体幹断面皮下脂肪層の観察
松山 容子猪口 清一郎鈴木 雅隆
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1984 年 44 巻 1 号 p. 61-73

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抄録

成人体幹のCT写真について, 総断面積, 皮下脂肪層の断面積, その比率および一定部位の厚さを計測し, Rohrer指数によるA, C, D3体型における特徴及び性差を検討した.研究対象ならびに方法: 研究対象は成人の男子10名, 女子16名, 計26名, 年齢は21~62歳で, それぞれをRohrer指数によって, 129以下 (A) , 130~149 (C) , 150以上 (D) の3型に区分した.CT写真撮影はErdheim格子線に準じて, 胸骨上縁高, 胸骨中点高, 剣状突起高, 上腹部高, 臍高, 下腹部高, 恥骨結合上縁高の7断面について行い, 各断面の皮下脂肪計測は前正中線, 乳頭線, 腋窩線, 殿線, 腰線および後正中線に相当する部位について行った.結果: 1.総断面積については, 男性では胸骨中点高と剣状突起高が, 女性では胸骨中点高と恥骨結合上縁高がそれぞれ最も大で, 男女とも膳高が最小であった.2.脂肪層断面積は, 男性では臍高, 下腹部高, 恥骨結合上縁高の順に大で, 剣状突起高が最も小であったが, 女性では一般に恥骨結合上縁高, 下腹部高, 臍高の順に大であった.3.皮下脂肪層の比率は一般に, 男性では臍高, 下腹部高, 恥骨結合上縁高の順に高く, 女性では恥骨結合上縁高が下腹部高に優り, 男女とも剣状突起高が最も低かった.4.各断面における脂肪層の厚さは, 胸骨上縁高, 胸骨中点高, 剣状突起高では一般に後正中線部が, 上腹部高では前正中線部が, 臍高では殿線部が, 下腹部高では腋窩線部が, 恥骨結合上縁高では前正中線部がそれぞれ最も厚い傾向がみられた.5.3体型の間では, 一般に総断面積, 脂肪層の断面積及びその比率, ならびに皮下脂肪層の厚さについて, 男女ともD, C, A体型の順に大で, C体型とD体型の間の差が著しい.特に厚さについては, 男性の胸骨上縁高の後正中線部, 胸骨中点高の乳頭線部, 下腹部高と恥骨結合上縁高の前正中線部と乳頭線部および臍高の殿線部と腰線部では, D体型で著しく厚くなる傾向が見られた.6.性別的に, 脂肪層の面積比は一般に女性が男性に優り, 体型別にはA体型では全断面で, C体型では上腹部高から下方の断面で, D体型では臍高と下腹部高を除く全断面で女性優位であった.脂肪層の厚さは, 一般には女性が厚く体型別にはC体型では下腹部高と恥骨結合上縁高の腋窩線部, 殿線部及び腰線部で女性が, D体型では下腹部高と恥骨結合上縁高の前正中線部及び乳頭線部で男性が, それぞれ他よりも優る傾向がみられた.

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