昭和医学会雑誌
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終夜睡眠ポリグラフィーによってナルコレプシーと診断された一例
田鹿 好昭下島 秀一千葉 潜豊田 益弘猪狩 中梶田 修明金 英雄高 国子井上 道雄
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1984 年 44 巻 2 号 p. 295-298

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抄録
数回にわたり持続的睡眠状態におちいり脳器質疾患が疑われて受診した症例 (23歳, 女性) について2回にわたり終夜睡眠ポリグラフを施行し, その結果を報告し若干の考察をおこなった.患者は2回の記録でいずれも入眠直後にREM段階に入っており, その後のREM段階の出現の仕方も, 不規則であり中途覚醒もみられた.また, 徐波睡眠第4段階は認められずREM段階出現率, REM密度は平均を上回るものであった.これらの脳波所見はナルコレプシーに特徴的であり, 診断を容易にさせた.ナルコレプシーは睡眠発作, 脱力発作, 睡眠麻痺, 入睡時幻覚を4主症状とするが, 本症例は睡眠発作のみを認めた稀な症例で.このような例はナルコレプシー症例の5パーセントにすぎないとの報告もある.また主症状が睡眠発作だけのものには, 入眠時には逆説睡眠が現れる性質はなく, その入眠過程は正常人の入眠時と同様な経過を示すという報告もあるが, 本症例では入眠時逆説睡眠が認められている点, 興味ある症例と言える.
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