昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
Print ISSN : 0037-4342
ISSN-L : 0037-4342
有機ゲルマニウム (Ge-132) の急性毒性試験
中山 貞男辻 泰喜宇佐美 研一
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 46 巻 2 号 p. 227-235

詳細
抄録

有機ゲルマニウム (bis-β-carboxyethylgermanium sesquioxide; Ge-132) の急性毒性試験をddY系マウスならびにWistar系ラットを用いて行った.Ge-132は水に難溶であるため, 0.5%CMC懸濁液 (Ge.132-CMC懸濁液) と炭酸水素ナトリウムを用いてpH7.0に調整した60%水溶液 (Ge-132-pH7水溶液) を作製し比較検討した.被検薬は経口, 皮下, 腹腔内, 静脈内投与により与えた.Ge.132-CMC懸濁液のLD50値はマウスで11, 950mg/kg, p.o., 7, 805mg/kg, s.c., 2, 170mg/kg, i.p.ラットで11, 350mg/kg, p.o., 3, 350mg/kg, i.p.であった.皮下投与では被検液が投与部位より流出し, LD50値は求められなかった.Ge-132-pH7水溶液のLD50値はマウスで11, 600mg/kg-p.o., 12, 350mg/kg, s.c., 5, 720mg/kg, i.v.ラットで10, 050mg/kg, P.o., 17, 050mg/kg, s.c., 4, 590mg/kg, i.v.であった.Ge.132-pH7水溶液静脈内投与におけるLD50値は, Ge-132-CMC懸濁液腹腔内投与のそれよりも大きかった.その他の投与経路では, Ge-132両被検液のLD50値に性差, 種差はみられなかった.Ge-132投与でみられた一般症状は, 苦悶症状, 自発運動の減少, 正向反射および逃避反射の消失, 呼吸抑制などであった.これらに加えて, Ge-132-pH7水溶液の高用量では後弓反張, 強直性痙攣を示した後に死亡した.Ge-132-CMC懸濁液の皮下投与では投与部位皮膚組織の腐食と壊死を認めた.これらの結果から, マウスおよびラットに対するGe-132の急性毒性は極めて低いことが示唆された.

著者関連情報
© 昭和医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top