昭和医学会雑誌
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抗炎症薬Alminoprofenの連続投与における肝薬物代謝酵素ならびに微細構造に及ぼす影響
坂本 浩二中山 貞男辻 泰喜栗本 忠中田 博子市田 茂人平山 八彦
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1986 年 46 巻 3 号 p. 323-331

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抄録

消炎・鎮痛薬alminoprofenの連続投与における肝の薬物代謝酵素と微細構造に及ぼす影響について, 既存のフェニルプロピオン酸系抗炎症薬ibuprofen, flurbiprofenおよびketoprofenと比較検討した.1. Alminoprofenの3日間投与では, 殆んど薬物代謝酵素には著変はみられなかったが, 35mg/kgおよび50mg/kg7日間投与では, aminopyrine Ndemethylaseとaniline hydroxylase活性の抑制がみられ, 14日間投与では20mg/kg以上のいずれの投与群でも著明な活性抑制を示し, 50mg/kg投与群では, cytochrome P-450の減少も認められた.しかしながら, これらの作用は10日間の休薬で回復した.2.微細構造に対しては, alminoprofen 35mg/kgと50mg/kgで小胞体 (ER) への変化, すなわちrERの減少と膨化, sERの増生がみられ, そのsERの増生はmicrosomalprotein量, 肝体重比に増加がみられないことから, rERの変化に伴うものであり新生したsERではないと思われる.さらに, ERの変化は3日ないし7日間の投与で強く, 14日間投与ではみられなかったことから一過性の変化でalminoprofenの連続投与期間中に修復されるものと考えられる.3.Trimethadione (TMO) 代謝を指標とした検索では, alminoprofenの投与で血中濃度曲線下面積 (AUC) と最高血中濃度 (Cmax) の低下傾向を示したが, 他のpharmacokinetic parameterには殆んど変化がみられなかったことから, TMO代謝にalminoprofenは影響ないものと思われる.以上の結果より, alminoprofenの連続投与では, 肝薬物代謝酵素の抑制と微細構造, とくにERへの変化が認められた.しかしこれらの作用は対応せず, いずれも回復性のものであった.したがって, alminoprofenには, 薬物の体内蓄積性や肝障害を催起させる作用はないものと考えられる.

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