昭和医学会雑誌
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Triton誘発高脂血症とこれに対するγ-oryzanolならびにその関連物質の影響
中山 貞男栗島 秀行小林 賢次辻 泰喜
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1986 年 46 巻 3 号 p. 359-364

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抄録

Triton WR-1339 (Triton) 投与後8, 24, 43時間における血清脂質の変化を検索し, この高脂血症モデルを用いて, γ-oryzanol (γ-OZ) , ステロール組成の異なるγ-OZ (N-γ-OZ) とcycloartenol feruli cacid ester (CAF) の抗高脂血症作用を検討した.動物は7週令SD系雄性ラットを用い, Triton投与24時間前から実験終了まで絶食とした.被検薬物は経口ならびに静脈内投与により与えた.Triton投与によって血清のtotal cholesterol (TC) , free cholesterol (FC) , triglyceride (TG) , phospholipid (PL) は著明に増加し, 高密度リポタンパク中のTCとPLは明らかに減少した.この血清脂質の変化はTriton投与後24時間に最大となった.Triton誘発高脂血症モデルを用いた薬物の抗高脂血症作用検索において, 脂質合成能に対する作用検索にはTriton 250mg/kg以上の投与量で, 投与後8~24時間の動物が適しており, 脂質排泄能に対する作用検索にはTriton 300mg/kg, 投与後43時間の動物が適していることが明らかとなった.γ-OZ, N-γ-OZ, CAFはTriton投与後8, 24時間の脂質合成に対して何ら影響を示さなかった.Triton投与後43時間の脂質排泄に対しては排泄促進作用を示し, N-γ-OZの静脈内投与ではFC, TGの排泄を有意に促進した.Triton誘発高脂血症に対するN-γ-OZの抗高脂血症作用はγ-OZに比べて強く, CAFのそれと同程度であり, 主として脂質排泄促進によるものと推察された.

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