昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
Print ISSN : 0037-4342
ISSN-L : 0037-4342
ラット心筋の毛細血管分布に関する研究
谷嶋 二三男里吉 政子
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 46 巻 3 号 p. 407-414

詳細
抄録

心筋の部位別の毛細血管分布を検索し, トレーニングの影響について部位別に検討した.ラットは5カ月間, 1日1回45分間, 分速22mのランニングを週6日行った.毛細血管分布の測定のため, 墨リンゲル液灌流法とトルイジンブルー染色法を併用した.筋線維数と毛細血管数との比であるCIF比でみると, コントロール群において右室外層1.17±0.022, 左室外層1.17±0.033, 左室内層1.12±0.023.乳頭筋1.13±0.022であった.また, 従来報告されている左室, の値が約1.00であることを見ると, 今回の報告は0.1程度大であった.このことは今回用いた方法がより正確であったことを示すものと考える.運動負荷群のCIF比をみると右室外層1.21±0.035, 左室外層1.19±0.057.左室内層1.15±0.023, 乳頭筋では1.21±0.025であり左室内層のCIF比が小さかった.運動群と対照群のCIF比を比較してみると, 運動群の方が右室外層と乳頭筋において有意に高かった.以上のことから心筋の毛細血管分布には部位差があり, 心室の外層部は内層部に比較して毛紐血管が豊富であることがわかる.またトレーニングによって部位よる影響が異なり, 右室外層や乳頭においてトレーニングの影響がみられることがわかる.

著者関連情報
© 昭和医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top