昭和医学会雑誌
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X線コンピューター断層撮影法による成人手の組織構成の観察
奥田 良三
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1987 年 47 巻 2 号 p. 177-188

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抄録
健康な成人54名 (男性27, 女性27) の手掌中央部及び遠位 (1/3) 部のCT写真を撮影し, 骨, 筋, 皮下脂肪組織及び筋腱間結合組織 (後者2つは以後皮下脂肪他と記す) と, 筋については母指球筋, 小指球筋, 骨間筋及び示指~小指浅深指屈筋腱虫様筋 (以後指屈筋腱虫様筋と記す) の4群についてそれぞれの断面積と比率を算出した.これらについて, 性差, 左右差, 年齢差, 利き手及び握力との関係を検討した.結果は次の通りである。1.手掌の組織構成比は, 中央断面で筋は男性右50.2%, 左46.6%, 女性右45.2%, 左43.1%で, 男女とも右側が, 左右とも男性がそれぞれ他よりも優る傾向が見られた.これに対して皮下脂肪他及び骨では左右差を認め難く, 前者は男性約28%, 女性約33%, 後者は男性約23.5%, 女性約22%であった.これらは大腿及び前腕と比べて, 筋比は低く, 脂肪比は男性では高く, 女性では低く, 骨比は高かった.2.筋群別には, 断面積は母指球筋が最も大で, 男性は女性よりも, 右側は左側よりも大なる傾向が見られ, 小指球筋と骨間筋はほぼ相等しくてこれに次ぎ, 指屈筋腱虫様筋が最も小であった.遠位断面では中央断面に比べて母指球筋と小指球筋は劣り, 骨間筋は優り, 指屈筋腱虫様筋は等しい傾向を示した.これらの傾向は骨格筋の筋線維数比による筋群の差と大凡一致した.3.年齢との関係を見ると, 両断面とも比較した年代の間では相違は見られなかったが, 総断面積の消長と最もよく一致したのは筋と皮下脂肪他であり, 筋の中では母指球筋と骨間筋であった.4.握力との関係については, 筋比は握力35~39kgから上昇, 骨比は25~29kg, 30~35kg時に上昇, 皮下脂肪他比は逆に下降傾向を示した.筋では母指球筋と骨間筋に握力との相関関係が見られた.5.利き手との関係を見ると, 総断面積は右利きでは右手が大で, 筋断面積がこれに連係する傾向が見られたが, 筋の中では母指球筋に相関傾向が見られたのみであった.
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