抄録
てんかんの診断のもとに精神病院 (4施設) に10年以上在院している33症例 (男21例, 女12例) を対象に多角的な調査をおこなった.対象症例の平均年齢は45.3±10.3歳で, 平均在院期間は18.6±6.5年間であった.これら対象に臨床精神医学的, 社会精神医学的側面および地域差について調査分析し, 次のような結果を得た.臨床精神医学的側面の特徴は入院事由, 発作出現頻度, 発作分類, 性格障害の有無, 知能テスト, 病棟内生活評価尺度, 頭部CT所見から複雑部分発作から二次性全般化発作を呈するいわゆる辺縁系障害を有する症例とLennox-Gastaut症候群に属する症例が多くみとめられた.また, 長期在院による知能水準の低下を示唆する結果や, 性格障害も経時的に気分不安定一爆発性の傾向が気分安定一粘着性に変わり, そこには辺縁系障害が関与していることが推測された.社会精神医学的側面の特徴は教育歴からは生活環境の貧困さが浮き彫りにされ, 職業歴からは知能障害, 性格障害に起因する就職および就業永続性の困難さが明らかになった.また, 臨床発作もコントロールされ開放病棟内では充分適応し, 単純な作業ならば充分処理出来る2~3の症例が長期在院していることも判明した.家族関係では放置的家族が協力的家族の2倍を占め, 患者とのつながりが希薄化しているが, その背景には親の高齢化, 両親の死亡, 核家族化があることが判った.首都圏と地方都市病院の在院症例の相異は前者には辺縁系焦点に起因する症例が多く, 後者には重症の知能障害とLennox-Gastaut症候群に属する難治例が目立った.家族関係では前者には核家族型, 後者には多世代家族型が多く, 入院事由の相異もあるが, 患者とのつながりは地方都市病院の方が密である.以上の調査結果から長期在院を少しでも防止する為の施策についても多少言及した.