抄録
豚腎皮質MAOの酵素化学的性質および, それに対するTriton X-100・sodium cholateの影響を検討した。MAO活性はradiometric assay法にて行なった。豚腎皮質mitochondriaをTritonX-100・cholateで処理するとMAO活性は低下したが, その傾向はserotonin, tyramine, β-phenylerhylamineを基質とした場合に特に著明であり, benzylamine, tryptamineでは顕著ではなかった。Tyramine, tryptamineを基質とした場合の至適pHはいずれもpH8.0附近であり, それはTriton X-100・cholate処理によって変化しなかった。基質濃度一活性曲線において, tyramine, benzylamine, serotonin基質の場合はいずれの基質濃度においてもTriton X-100・cholate処理によって, その活性は低下したが, tryptamine基質の場合には, 10mM以下の濃度では活性が低下したが, 10mM以上の濃度では逆にその活性は増加した。豚腎臓mitochondria MAOに対するclorgylineの影響はtyramine, tryptamineを基質とした場合, その阻害曲線はシングルシグモイド型であった。それに対し, deprenylの影響は両基質を使用した場合もほぼ同様でその阻害曲線はダブルシグモナイド型であった。またclorgylineおよびdeprenylの作用強度に対するTriton X-100・cholateの影響を検討したところclorgyline, depreny1に対する感受性には変化は認められなかった。以上の結果により, 豚腎MAOは阻害薬感受性から見ると従来のtype-A, type-B分類では分類できず, 他の臓器とは異なる性質を示すMAOである事が示唆された。また, Triton X-100・cholateは豚腎臓mitochondria MAOの性質を変化させ, 特に基質特異性に大きな影響を与え, Triton X-100・cholateを用いてMAOを可溶化する場合には十分な配慮が必要であると思われる。