抄録
気管支喘息における最も重要な病態は気道の反応性充進であると考えられている.現在その測定方法には種々のものがあるが, いずれの方法においても所要時間, 経費, 安全性などの点で一長一短がある.今回われわれは喘息患者に超音波ネブライザーを用いて蒸留水を吸入させ, 前後のFVC, FEV1.0, PFRなどの変化により気道過敏性を検索し, その有用性を検討した.当科通院中の気管支喘息患者22名 (年齢17~58歳, 男性10名, 女性12名) および正常人男子11名 (年齢25~35歳) に対し超音波ネブライザー (AcomaEM12) を用い, 0.9%生理食塩水15mlを5分間吸入させ, その後注射用蒸留水15mlを5分間吸入させた.検査前, 生理食塩水吸入後, 蒸留水吸入後にチェスト社製オートスパイラ498を用いFVC, FEV1.0, PFR, V50, V25を測定しその変化を観察した.またチェスト社製アストグラフを用い, メサコリンに対する気道過敏性の指標としてdoseminimum (Dmin) を算定した.気管支喘息患者群では前値と比較し蒸留水吸入後の肺機能の各指標は有意に低下した.喘息群におけるFEV1.0の%Fa11は平均32.4%だった.また生理食塩水の吸入前および後の肺機能は, FVC, FEV1.0, PFR, V50, V25のいずれにおいても有意な低下を認めなかった.正常人では生理食塩水, 蒸留水のいずれの吸入後においても, 肺機能の変化は認められなかった.メサコリンを用いたアストグラフによる気道過敏性の指標であるDminと蒸留水吸入によるFEV1.0の%Fa11との関係は, 気管支喘息患者群において, メサコリンに対する気道過敏性 (D min) が高くなるほどFEV1.0の%Fallも大きくなる傾向を認めたが有意ではなかった.気管支喘息における気道過敏性を検出する方法として, 超音波ネブライザーを用いて蒸留水を吸入させると, 喘息患者では肺機能の有意な低下を認めたが正常人では全く反応しなかった.本法は簡便かつ安全に行える定性的気道過敏性検出法として有用であると考えられた.