昭和医学会雑誌
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治療経過を観察中の川崎病の子供を抱える母親の意識・心理に関する研究
朝倉 隆司金 有叔笹 節子石川 自然稲葉 美徳野嵜 善郎奥山 和男
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1988 年 48 巻 3 号 p. 383-391

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抄録

急性期を過ぎた川崎病の子供とその母親を対象にアンケート調査を行い, 不安や生活制限の実態とその心理社会的要因を検討した.有効回答者数は113名 (75.3%) である.子供に対し何らかの不安を持っていた母親は89.4%で, 主な内容は再発 (62.8%) , 後遺症・動脈瘤 (59.3%) , 激しい運動ができない (26.5%) であった.また何らかの生活上の制限を行っていたのは28.3%で, 主な制限は予防注射 (12.4%) , スポーツ (10.6%) , 就寝時刻・夜更し (10.6%) であった.さらに母親の不安並びに子供に加える生活制限に関連する心理社会的要因を検討したところ, 1) 子供の病気がまだ続いているという母親の意識, 2) 子供の川崎病について助言を求める行動を多く取っていること, 3) 川崎病の母親同士や家族・親族らと交換される情報の質, 4) 母親を取り巻く家族のダイナミックス, 5) これまでストレスフルな生活上の出来事にいかに対処してきたか, などの要因が関連していると考えられた.

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