昭和医学会雑誌
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当教室における前立腺癌の臨床効果判定基準とその臨床評価について
大田 桂一簡野 芳憲檜垣 昌夫今村 一男
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1990 年 50 巻 2 号 p. 156-162

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抄録

前立腺癌は, 原発巣および遠隔転移巣の定量的な評価が難しく, 現在前立腺癌の治療効果を評価する確立された基準はない.今回われわれは, 前立腺癌取扱い規約に準拠して臨床効果判定基準を作成し, 当教室での症例によりこの判定基準の価値を検討した.その結果, 前立腺癌取扱い規約による臨床病期分類による評価では, stage A, Bにおける改善は6例, 不変は10例, 悪化は2例であり, stage Cにおける改善は3例, 不変は10例, 悪化は1例であり, また, stage Dについてはいずれも不変であった.しかしながら, われわれの臨床効果判定基準による評価では, stage A, Bにおける改善は9例, 不変は5例, 悪化は4例であり, stage Cにおける改善は4例, 不変は4例, 悪化は6例であり, また, stage Dにおける改善は9例, 不変は2例, 悪化は1例であった.以上より, 前立腺癌取扱い規約の臨床病期分類1) により評価した症例では, 多くの症例において不変例がみられた.その理由として, 前立腺痛取扱い規約の臨床病期分類では原発巣の変化を細かく評価することができず, その点われわれの作成した臨床効果判定基準は, これを補っており, 臨床的により有用であると思われた.

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