昭和医学会雑誌
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ラット顎下腺の神経支配に関する免疫組織化学的観察
―特にVIP性神経支配について―
志賀 久隆塩田 清二中井 康光
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1992 年 52 巻 2 号 p. 197-206

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抄録
ラット顎下腺におけるカテコールアミン, セロトニン (5-HT) , γ-アミノ酪酸 (GABA) , vasoactive intestinalpol ypeptide (VIP) , neuropeptide Y (NPY) およびsubstance P (SP) 含有神経線維の分布について免疫組織化学によって観察した.さらに, VIP, tyrosine hydroxylase (TH) , NPY含有神経線維と腺細胞, 筋上皮細胞および血管との関係について電顕免疫組織化学によって観察した.TH, 5-HT, GABA, VIP, NPY, およびSP様免疫陽性神経線維は腺房周辺および導管や血管の周囲の間質に分布していた.これらの神経線維のうち, VIP様免疫陽性神経線維は腺房内の腺細胞間に進入し, その終末が漿粘液性および粘液性腺細胞にシナプス様結合している像も観察された.また, TH様免疫陽性神経終末は血管壁の平滑筋細胞にシナプス様結合しているのが観察された.以上, ラット顎下腺では, VIP含有ニューロンはシナプスを介して腺細胞の分泌活動を直接支配している可能性およびカテコールアミンやNPY含有ニューロンは血管の収縮に関与している可能性が示唆された.
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