抄録
症例は45歳, 男性.上腹部痛にて他院受診.肝腫瘍を指摘され当科転院.検査上炎症反応, 胆道系酵素の軽度上昇, DUPAN-2高値で, 画像検査では娘結節, 肝門部浸潤を伴う5×5cmの肝腫瘍を認めた.胆道, 膵, 消化管に異常なく, 血管造影上腫瘍は乏血管性で, 生検にて中分化管状腺癌を認め, 肝内胆管細胞癌と診断した.切除不能であり, ADR, MMC, 5-FUの動注化学療法 (IA) を行い, 4週後27%の腫瘍縮小を認めたため, 6週後再度IA, 固有肝動脈にリザーバーによるIAラインを留置し, 9週日よりADR, MMCのbolus injection, 5-FUの間欠的持続IAを行った.10週目50%, 16週目65%縮小し, DUPAN-2も低下し, 8カ月の経過にても新病変の出現なくPRと診断した.近年種々の癌にリザーバー動注化学療法が行われているが, 胆管細胞癌に動注化学療法単独でPRを得た例は稀で, 文献的考察を加えて報告した.