抄録
Wilson病の肝病変について形態学的に検討したので, 臨床経過を添えて発表した.症例は18歳, 男性.高校検診時に偶発的に肝機能障害を指摘され, 某院にてWilson病と診断されたが, 自覚症状なく積極的治療は受けてなかった.会社検診時に再度, 肝機能障害を指摘され本院に精査目的で入院となった.入院時, Kayser-Fleischer角膜輪, 血清銅低値および低セルロプラスミン血症が認められた.生検された肝組織銅含量は292μg/g.d.wと極めて高値を示した.組織学的に, 乙型肝硬変像を呈し, ロダニン染色にて肝細胞内に銅沈着を認めたが, これらは不規則で一部の偽小葉内に限局してみられた.また伊東細胞が電顕的にも認められ.その周囲には膠原細線維束が多数認められた.すなわち本疾患の線維化進展には, 肝細胞障害に続発して増生した線維芽細胞より形成される二次的線維化以外に伊東細胞より形成される一次的線維化の関与の可能性も示唆された.