抄録
口唇・口蓋裂は, 先天性外表奇形としてわが国に比較的多い疾患であり, その疫学的研究業績は数多い.しかし, その原因については, 未だ不明な点が多く, 特に裂型, 披裂程度に関連する要因についての研究業績は少ない.本研究は, そのうち裂型及び披裂程度と患児の性別, 母親の患児出産時年齢との関連について着目し, 昭和52年8月から平成4年5月までに, 昭和大学付属病院形成外科を未治療で訪れ, かつ近親者に同種異常のない1072症例を対象とし調査検討を行ったものである.分類方法は裂型を, 口唇裂, 口唇口蓋裂, 口蓋裂に, 披裂程度を, 口唇裂, 口唇口蓋裂で完全, 不全, 痕跡に, 口蓋裂で硬軟口蓋裂, 軟口蓋裂, 粘膜下口蓋裂及び垂裂にそれぞれ3群に分けた.披裂部位は, 口唇についてのみ着日し, 右側, 左側, 両側に分けた.また, 母親の山産時年齢は, 29歳以下, 30歳以上の2群に分類した.なお解析方法としてクロス表の検定には, x2検定を用いた.その結果, 裂型には, 性別, 母親の出産時年齢との問に有意な関連が認められ, 口蓋裂で口唇口蓋裂, 口唇裂に比し, 母親が高齢である傾向がみられた.披裂程度には, 左口唇裂, 両側口唇裂, 左口唇口蓋裂において性別が有意に関連し, 女児に披裂程度がより重度である傾向が示された.また, 母親の出産時年齢との問には, 有意な関連は認められなかった.