昭和医学会雑誌
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昭和大学病院における1990年7月~1992年9月のMRSAの分離状況, およびArbekacinを基本とした抗菌剤併用効果について
陳 戈林福地 邦彦姜 昌求高木 康五味 邦英牧野 真理子山口 智子和久田 梨香田中 庸子
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1993 年 53 巻 4 号 p. 354-361

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抄録
1990年7月~1992年9月におけるmethicillin resistantStaphylococcus aureus (MRSA) の分離状況を報告する.S.aureusはこの期間に臨床検体より分離された細菌の中で最も多く, その内, 約50%がMRSAであった.すなわち, 入院患者から検出されたS.aureusでは毎月60~80%がMRSAであり, 外来患者では毎刀15~30%であった.検体材料別では, 入院患者の尿由来S.aureusの84%, 入院患者の膿では75%と高率にMRSAであったのに対し, 外来患者の膿では18%, 外来患者の呼吸器では19%と低率であった.MRSAに有効なABKと, 他の抗菌剤とのin vitroでの併用効果をABKのMIC4μg/ml以上のMRSA56株について検討した.この結果, ABK+ABPCでは相乗効果82%, 相加効果11%, ABK+FOMでは相乗63%, 相加0% ABK+CVA・TIPCでは相乗52%, 相加25%であり, 拮抗作用は認められなかった.また, β-ラクタマーゼ産生株に対しても相乗・相加効果は認められ, 他の抗菌剤の併用により, ABKの投与量を削減することが期待できる.
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