昭和医学会雑誌
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性行為による脳血管障害の検討
豊田 泉土居 浩国井 紀彦林 宗貴西野 猛阿部 正松本 清
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キーワード: 性行為, 脳血管障害
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1993 年 53 巻 4 号 p. 362-367

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抄録
脳血管障害の発生原因には, 各種の要因が存在する.性行為もその一因である.今回我々は, 昭和55年4月より平成5年3月までの, 約13年間に山梨赤十字病院及び昭和大学病院を受診した患者の中で, 病歴上明らかに性行為前後の脳血管障害と考えられる14例を検討した.症例は, 36歳から65歳にわたり, 性別に関しては, 男性13例であり, 女性は1例であった.脳出血8例, くも膜下出血6例であり, 梗塞性病変はなかった.これは, 脳神経外科系における診療データによるものであるからであろう.注目すべき点として, 性行為の相手としては, 3例のみが夫婦間であり, 残り11例は, 愛人関係や, 性風俗従事者との行為である.また, 発生場所に関して, 自宅であることより愛人宅・ホテル及び性風俗施設である.さらに, この中で, 初診時の問診にて, 性行為前後の発症であるということの情報があるものは, わずかに3例だけである.そのほとんどが, 後日, 関係者からの情報より得られるのみである.すなわち, このような症例が実は, 意外と多いことが考えられる.我々は, これらの疾患の発症様式等の詳細な検討を要する時期に来ているのではないかと考えられる.
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