抄録
多発性骨髄腫患者では, 好中球の遊走能, 粘着能および貪食能の低下が報告されており, 易感染状態にあるとされている.一方, granulocyte colony-stimulating factor (G-CSF) receptorは活性酸素産生, アルカリホスファターゼやIgAFc受容体の誘導, アラキドン酸産生などのG-CSFの刺激による成熟好中球の機能亢進を特異的に仲介することが知られている.著者らは多発性骨髄腫の好中球機能異常の原因を検討する目的で, 成熟好中球G-CSFreceptorを検討した.対象は多発性骨髄腫患者20例, および正常者20例である.G-CSF receptorの測定はmonoclonal抗体をいflow cytometry法で行った.血清IL-6濃度は, 酵素抗体法で測定, 標準曲線から値を求めた.IL-6の好中球G-CSFreceptor, CD11bに及ぼす影響は, 好中球4×104に対してIL-6 (100u, 500u, 1000u) を添加, 室温で30分放置した後, それぞれのmonoclona1抗体を用いてflow cytometry法で測定した.多発性骨髄腫患者における好中球G-CSF receptor量は正常者と比較して明らかに低下していたが, 化学療法後では正常者とほぼ同じ程度まで回復した.多発性骨髄腫患者の好中球G-CSF receptor量と血中IL-6濃度は負の相関を示したが, M蛋白とは相関を示さなかった。
In vitroにおいてIL-6は量依存性に健常者の好中球G-CSF receptor量を減少させた.また, IL-6は好中球CD11bの発現を低下させたが用量依存性は認められなかった.従ってG-CSF receptorの低下にはIL-6の関与が大きいものと思われる.IL-6がG-CSF receptorを減少させる機序にはhieralchial down modulationが関わっているものと推定される.好中球のCDllbは活性酸素産生能, 粘着能をよく反映するとされている.IL-6によるCDllbの低下は, IL-6がG-CSFreceptorの減少を介して好中球機能を抑制している可能性を示唆する.