昭和医学会雑誌
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MR Angiographyによる手の末梢血管描出とその臨床的有用性
有川 公三
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キーワード: , 末梢血管
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1996 年 56 巻 4 号 p. 439-447

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抄録
Magnetic Resonance Angiographyにて手の末稍血管描出法の条件を健康成人で設定し健康成人ボランティア20名 (男性11名, 女性9名) , 臨床3例において同条件でMRAを施行し臨床的有用性を検討した.末梢血管, 特に手におけるMRAの報告は血管径, 血流速, ハード面の問題もあり描出が難しく報告も少ない.MRAの診断精度は, MR機器 (メーカー, 制作年代, 機器の改良の如何) , 撮像方法, 画像表示法, 読影システム, 読影者の能力によってかなり左右されるものであり, また, 方法は画一的なものでなく検査部位, 疾患によって必要とする精度の高い情報を得るために, いろいろな方法から選択しなければならない.今回, 健康成人の協力を得て手の末梢血管のMRA画像描出のために常時撮像できる条件Flip角90度, 繰り返し時間TR35ms, エコー時間TE16ms, スライス厚2mm, 撮像視野FOV17cm, 平均加算回数NSA2, 表示マトリックス141×256, 室温22度を設定し, また, 従来の撮像法の欠点を改善したMultiple Slide Slice法で明瞭な画像を描出できた.設定した条件にて健康成人ボランティア20名, 臨床3例にMRAを施行した結果, MRAは無被爆, 無侵襲の検査で, その特徴をいかすことで手の分野においても臨床的に有用であると考えられた.
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