昭和医学会雑誌
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パーキンソン病におけるアブミ骨筋反射
横川 友久
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1997 年 57 巻 2 号 p. 149-154

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抄録

パーキンソン病は黒質線条体, 淡蒼球, 青斑核などの大脳基底核病変を中心とした神経核変性疾患であり, 錐体外路症状を中心に多様な症状を呈する.近年インピーダンスオージオメトリーの測定に関する機器の普及により, 神経変性疾患におけるアブミ骨筋反射の異常が報告されてきているが, パーキンソン病についてはほとんど報告が見られていない.今回われわれは, パーキンソン病患者10名についてアブミ骨筋反射を記録し, その波形より各種潜時を測定し正常耳と比較検討した.対象は太田熱海病院神経内科入院中のパーキンソン病患者と, 正常若年者及び正常老年者で, その聴力, アブミ骨筋反射閾値を測定し, ついでアブミ骨筋反射をX-Yレコーダに記録して諸潜時の測定を行なった.その結果, 正常若年者と正常老年者の間には差が見られず, 正常老年者とパーキンソン病患者の間においてアブミ骨筋反射潜時の一部に延長を認めた.このことは, 従来のアブミ骨筋反射の反射経路の他にも別の経路が存在することを推測させた.

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