抄録
免疫抑制剤ミゾリビンの作用機序を小形条虫-マウスの系を用いて検討した.AKR系雄マウスに小形条虫虫卵1000個を経口投与し (初感染) , その5日後に再度同数の虫卵を投与 (攻撃感染) した.初感染から9日目に, また攻撃感染から4日目に各マウスを殺し腸絨毛内に寄生している幼虫の有無を調べた.ミゾリビンの投与期間は, 初感染当日から4日間あるいは攻撃感染の当日から4日間で, 投与経路は経口であった.また, 初感染後のマウスにミゾリビンを経口投与し, 小形条虫虫卵抗原をマウス足蹠に皮内注射して, その肥厚を測定した.さらに, 攻撃感染と同時にマウスにミゾリビンを投与した後, 腸間膜リンパ節細胞を採取し, 同細胞の3H-チミジンの取り込みを調べた.得られた結果は以下の通りである. (1) 小形条虫虫卵の経口投与による初感染及び攻撃感染と同時にミゾリビン量を50, 100, 300, 600, 1800mg/kg (ただし1800mg/kgは600mg/kgを3回に分与) を4日間投与して9日目あるいは4日目に各マウスを殺して腸絨毛内に寄生しているシスチセルコイド数を調べたところ, 攻撃感染時にミゾリビン1800mg/kgを投与した群のマウス5例中全てに再感染が成立し, それ以外の群では初感染由来の成虫が確認されたのみで再感染は完全に阻止されていた. (2) 小形条虫虫卵1000個をマウスに経口投与した後, 7日目にミゾリビンの600mg/kg/日と1800mg/kg/日 (600mg/kgを1日3回に分与) を経口投与して, 虫卵抗原を足蹠皮内に注射し, 24時間目に両足蹠の厚さを測定して, ミゾリビンの足蹠反応の発現に及ぼす効果を調べた.1800mg/kgのミゾリビンの投与群と未感染のコントロール群の間には有意差 (p>0.05) は認められず, 足蹠の肥厚はみられなかった. (3) 攻撃感染と同時に600mg/kg/日あるいは1800mg/kg/日 (600mg/kgを3回に分与) のミゾリビンを4日間間歇的に経口投与し, 薬剤最終投与後3時間目にマウスを殺し腸間膜リンパ節細胞を採取, 同細胞への3H-チミジンの取り込みを調べたところ, ミゾリビン600mg/kg/日を4日間間歇投与した群では, 急激な取り込みの減少と回復状態の繰り返しが見られた.しかし1800mg/kg/日 (600mg/kgを1日3回) 投与した群では, 急激に取り込みが低下しその後の3日間は低いレベルがそのまま持続した.