抄録
平成6年度昭和大学医学部解剖実習で60歳男性 (肝癌で死亡) に大動脈弓最終枝としての右鎖骨下動脈と, 右椎骨動脈が右総頚動脈から分かれている起始破格を同時にともなった破格例に遭遇した.本例はAdachi-Williams-中川のG型に, またHolzapfelの第4図にそれぞれ相当し, 竹村らの分類のG'型である.昭和大学医学部解剖実習体での本型の出現頻度は489例中1体 (0.2%) であり, 右鎖骨下動脈を大動脈弓最終枝とし, 椎骨動脈の起始異常を伴った例は, 本邦で6例目に相当し, 竹村らの分類によるG'型では5例目である.