昭和医学会雑誌
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転移を有する腎細胞癌に対するインターフェロン-αの治療成績
深貝 隆志内藤 善文丸山 邦夫北村 朋之石原 理裕吉田 英機
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1997 年 57 巻 4 号 p. 354-359

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抄録
肺転移を有する進行腎癌に対するインターフェロン-α (以後IFN) の有効性を検討するため, 都立広尾病院における腎癌の治療成績について検討を行った.対象は1982年1月より1995年12月までの14年間に都立広尾病院泌尿器科で治療した腎癌患者74例中, 診断時に肺転移の存在した12例と経過観察中に肺転移をきたした10例, 計22例を対象とした.これらの患者のうちIFN使用例についてその治療効果を検討し, さらに未使用例と比較し生存期間に対する有効性についても検討した.この結果, 診断時に肺転移が存在しIFNを使用した6例の治療効果判定は全例がPDであった.生存期間の比較ではIFN使用例は平均25.8週, 未使用例は平均14.7週と使用例の方が長い傾向が見られ, 生存曲線でもIFN使用例の方が良好な傾向が見られた.また経過観察中に肺転移をきたしIFNを使用した6例の治療効果判定はPR1例, NC3例, PD2例であった.未使用例4例と生存期間を比較した場合, IFN使用例の再発後平均生存期間は139週, 未使用例は64週と使用例の方が長い傾向が見られた.生存曲線でもIFN使用例のほうが有意に高い生存率が得られた.この結果, IFNを使用した全12例の奏功率はPR1例 (8%) と不良の結果であったが, 生存率, 生存期間は未使用例と比較して良好な傾向が見られ, NC症例でも延命効果が得られている可能性が考えられた.
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