昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
Print ISSN : 0037-4342
ISSN-L : 0037-4342
プラバスタチン低用量投与による高コレステロール血症併発慢性透析患者の脂質代謝改善作用
谷 雅秀後藤 善昭後藤 善和稲垣 昌博木内 祐二小口 勝司
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 57 巻 4 号 p. 360-365

詳細
抄録
透析患者の脂質代謝異常を改善することは, 長期予後のうえで重要である.そこで我々は, 高コレステロール血症併発慢性透析患者20名に, HMG-CoA還元酵素阻害薬であるプラバスタチン (メバロチン) 低用量 (5mg/day) の3カ月投与による血清総コレステロール (TC) などの脂質代謝改善作用について検討を行った.これらの患者のうち3名には3カ月目よりプラバスタチン10mg/dayを投与したが, トランスアミナーゼ上昇のために1名の患者の投与を中止した.TCは投与1カ月後より持続して22~24%低下し, 同様にApo Bの減少も認めた.低比重リボ蛋白 (LDL) と超低比重リボ蛋白 (VLDL) の減少傾向を認めた.血清トリグリセリドも1カ月後より有意に減少した.これらの結果は, 非腎障害者での結果とほぼ一致していた.血中のプラバスタチンとその代謝物濃度測定より, 3カ月間の低用量適用では蓄積は認められないことが示された.以上より, 高コレステロール血症併発慢性透析患者におけるプラバスタチン低用量投与は, 臨床的に有用と思われた.
著者関連情報
© 昭和医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top