Journal of UOEH
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日本における犬糸状虫の人体寄生症例総覧
真喜屋 清塚本 増久影井 昇
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1987 年 9 巻 2 号 p. 233-242

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抄録
我国における犬糸状虫の人体寄生例は, 1964年に皮下寄生例が初めて報告されて以来ここ数年の間に急増したが, 現段階で実際に何例目であるのか文献によっても症例が洩れていたり混乱していて正確な数がつかめなかった. 我々は正規の刊行物として印刷された文献を可能な限り探索することにより, 全症例を網羅すべく努めた. すなわち, これらの症例を発表の順序に従って整理し一連番号を与え, さらに一覧表を作成して今後の研究者のために正確な文献集としても利用できるよう心掛けた. その結果, 最近北九州市で発見された症例を含め1986年末迄に日本では56例(肺寄生症は39例, 肺外16例, 場所不明1例)が報告されていることになる. 体内での寄生部位としては, 肺X線撮影の結果特に右肺の銭型陰影として発見される例が圧倒的に多く(29症例), 肺以外ではその大部分が各所の皮下組織から腫瘤として報告されている. 犬糸状虫症は, その殆どが癌などの疑いで摘出されてから後に寄生虫によるものであることが判明しているので, 最近急激に増加している人畜共通感染症としでの重要性を強調したい.
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© 1987 産業医科大学
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