抄録
馬鈴薯塊茎を生長の順に採取し,これより調製した澱粉粒子の大きさと,その重量を測定し,粒子の相対生長を観察し,粒子の生長の様相を検討した. 1.馬鈴薯澱粉粒子は小さい粒子からだんだんと大きく生長するが,粒子の重量の生長がその体積の生長に劣る負の不等生長である. 2.馬鈴薯澱粉粒子の生長には,粒子の体積の生長と重量の生長とがあって,これが交互に行われる.しかしこの生長比は同じである. 3.馬鈴薯澱粉粒子は長軸方向と短軸方向への生長があって,これが交互に行われる.この体積生長が優調のとき粒子内部に塩酸に分解されにくい澱粉分子がつくられる.