抄録
まれな損傷である末節骨裂離骨折を伴った深指屈筋腱皮下断裂の1例を経験したので報告する.症例は24歳の男性.1998年11月15日, 重いものを持ち上げたときに疹痛とともに環指の自動屈曲不能となった.初診時所見では右環指遠位指節間関節 (以下DIP関節) は腫脹し皮下出血を認め, 自動屈曲不能であった, 単純X線像上末節骨骨折と中節骨掌側に裂離骨片を認める.術中所見では裂離骨片はA4 pulleyにひっかかっており, 裂離骨片を牽引整復し, 軟鋼線にて固定した.術後の経過は術後2FI目より他動可動域訓練を開始し, 術後3週目より自動可動域訓練を開始した.術後6ケ月の現在, DIP関節は屈曲50゜, 伸展-10゜の自動運動が可能となった.本症例はLeddy分類Type IIIであり, hyper extension injuryである, 治療結果はどの型も早期に手術が行われた症例では, 一般的に良好であり私達の症例も受傷後早期に手術されており, 経過良好と考える.