昭和医学会雑誌
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耳介軟骨膜移植に関する基礎的研究
―人工細胞外マトリックスとしての多孔性ポリエチレンとコラーゲン併用効果について―
木内 達也塚越 卓斎藤 康太郎保阪 善昭
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1999 年 59 巻 4 号 p. 438-444

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抄録
多孔性ポリエチレン (porous high-density polyethylene, Medopor以下PHDPE) はとくにアメリカで美容外科領域や頭蓋顎顔面外科領域で主に使用されている生体埋入材料である.一方, 軟骨組織は形成外科領域で組織の支持, 軟部組織のaugmentation等に用いられ, 非常に利用価値の高い組織である.しかし, その採取可能な部位および採取量が制限されていることから十分利用されているにいたっていない.今回使用したPHDPEは生体吸収性の素材ではなく, 本来の理想的な人工細胞外マトリックスとはいえないが, 希望する形態に細工することが可能な特徴を有する, そこでその特徴を利用し, PHDPEが軟骨細胞新生のための人工細胞外マトリックスとして利用可能であるか基礎的研究を行った.家兎の耳介軟骨膜を使用し, 有茎軟骨膜弁群, 遊離軟骨膜弁群に分け, PHDPEを被覆し, さらにそれぞれのコラーゲン併用の効果について2, 4, 8週間後のPHDPEにおける軟骨形成の状態を比較検討した.
有茎耳介軟骨膜弁群, 遊離耳介軟骨膜弁群はともにPHDPE周囲, 孔内に軟骨形成を認めたが, 有茎耳介軟骨膜弁群に認められた新生軟骨細胞の方が多かった.さらに, コラーゲン併用群の方が, 比較的早期よりPHDPE内に軟骨形成が認められ, 比較的成熟した軟骨細胞を認めた.また遊離耳介軟骨膜弁群においてコラーゲン併用の効果が顕著であった.
PHDPEは軟骨細胞形成のための人工細胞外マトリックスとして, 利用できる可能性があると思われる.しかし, 実験結果より将来, 臨床応用の可能性を最も有していると考えられるGroup IIのPHDPE埋入後8週間でもPHDPE孔内, 周囲の新生軟骨細胞は十分とはいい難いものであった.臨床応用するためには長期的な軟骨細胞の維持について, またコラーゲンに代わる細胞外マトリックスの開発などさらなる研究が必要である.
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