昭和医学会雑誌
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回盲部合併小腸大量切除に対するインスリン様成長因子 (IGF-1) の投与効果
浅川 清人葛目 正央山口 真彦松宮 彰彦佐々木 純志村 浩根本 洋松本 匡史真田 裕成原 健太郎熊田 馨中島 政博浅井 めぐみ竹田 稔
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1999 年 59 巻 4 号 p. 445-451

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抄録
消化器外科では時に小腸大量切除もしくは回盲部合併小腸大量切除を余儀なくされ, そのQOLおよび予後 (特に後者) は不良とされてきた.インスリン様細胞増殖因子 (IGF-1) は血糖降下作用, 蛋白同化作用, 細胞増殖作用を示し, とくに小腸上皮細胞に対する再生増殖作用は明らかで小腸大量切除に対する有用性が期待される.そこでラットを用い, 回盲部合併小腸大量切除を行い, IGF-1を投与して栄養状態, 肝機能に対する効果を検討した.6週齢のウイスター系ラットを用い, 回盲部温存小腸大量切除群と回盲部合併小腸大量切除群を作成し, IGF。1あるいは生理食塩水を投与した.肝機能評価として, 血清中のGOT, GPTを測定した.栄養状態の評価として血清中総蛋白と主に肝臓で合成されるrapid turn over proteinの1つである血清トランスフェリンを測定した.また, 体重変化, 水分摂取量, 尿量, 食餌摂取量を検討した.回盲部温存小腸大量切除群は術後肝機能障害は軽度であり, 術後1週間の体重, 血清中総蛋白, 血清トランスフェリンはほぼ術前値に回復し, 明らかなIGF-1の投与効果は認められなかった.一方回盲部合併小腸大量切除群は回盲部温存群と比較して明らかに術後の肝機能障害は遷延し, 低栄養状態が続き, 多飲にも関わらず尿量は低下していた.しかし, IGF-1の投与によりこれらは有意に改善された.小腸大量切除に回盲部切除を追加すると肝機能障害が出現し, 極度の栄養障害をきたすが, IGF-1の投与はこの肝機能障害, 栄養障害を軽減し, 臨床的有用性が示唆された.
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