昭和医学会雑誌
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Interface dermatitisの病理発生におけるmacrophageの関与
馬場 利容小倉 美代子宗 寅傑末木 博彦飯島 正文
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キーワード: マクロファージ
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2004 年 64 巻 3 号 p. 286-294

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抄録

Graft-versus-host reaction (GVHR) における表皮細胞障害は主に細胞障害性Tリンパ球に起因すると考えられてきたが, 近年, 表皮内に多数のマクロファージの浸潤が確認され, マクロファージ由来のtumor necrosis factor-α (TNF-α) による表皮細胞障害が注目されている.今回我々はGVHRを陽性コントロールとして, 種々の程度の表皮障害を伴うinterface dermatitisにおけるマクロファージ系細胞の動態とTNF-αの役割を明らかにした.組織学的にinterface dermatitisならびにGVHRを示す25症例26検体を対象とした.表皮障害の程度を抗HLA-DR抗体, 抗ICAM-1抗体, 抗CDla抗体を用いて免疫病理学的に4つのgradeに分類し, 各gradeの表皮内CD11b陽性細胞数ならびにTNF-α発現の程度を比較した.表皮障害の程度に基づくgrade分類と表皮内CDllb陽性細胞数には正の相関が認められ (P=0.0003) , 表皮内におけるTNF-αの発現もgrade分類と平行して増強が認められた.以上よりinterface dermatitisの病態形成, 特に表皮細胞障害にはマクロファージとその産生するTNF-αの関与が推察された.

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