2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S12
臨床研究医(診療をメインに研究活動も行う臨床医)は、診療を通じて大小様々な新たな知見に日々遭遇している。それらの中から将来の診療に役立つと思われる知見は、学会発表を通じて議論し、その後、論文にまとめて報告されることが一般的である。学会発表が先行するのは研究の先進性がアピールできるからであり、論文を最終報告とするのは知財獲得では学術的な評価指標にならないことが多いからである。ほとんどの臨床研究医は、学会発表・論文化された内容がその後の研究開発や商品化にどう活かされるかには興味を示してこなかった。しかし、画像解析技術などは、研究者個人の端末で行えるだけでは、実際にその技術を必要とする多くの患者に届けることは難しく、現代では産学連携による普及活動が重要である。これまでも企業主導での商品開発(企業側のアイデアを臨床医が評価する形式)は数多く実践されてきたが、医師主導研究からの商品化は余り行われてこなかった。背景には臨床研究医の知財リテラシーの低さがあるといえる。我々の教室でも循環器イメージング解析を中心とした数多くの研究開発が行われてきたが、知財の確保ができていないことにより、多くの問題が生じていた。本講演で我々の経験をお示しする事でこれからの産学連携のあり方について議論するきっかけになればと期待する。