生体医工学
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光電容積脈波からの血圧推定のためのオートエンコーダによる特徴抽出
島崎 正太河中 治樹小栗 宏次
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2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S143

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抄録

光電容積脈波を用いて血圧を推定する研究がされている.従来から提案されている心電と脈波の時間差による血圧推定手法では,心電電極を体に装着するため,簡易な手法とは言い難い.そこで本研究では,より簡易な血圧推定手法として,単一の光電容積脈波センサから得られる脈波信号のみを用いて血圧推定を行う.先行研究では,脈波は心血管系の状態に応じて波形が変化することが知られていることから,指尖の光電容積脈波や2階微分した加速度脈波から波高や時間的特徴量を抽出し,回帰分析を用いて血圧推定が行われている.しかしながら,それらの特徴量のみでは十分な回帰を行うことができない.従来の特徴量のみでは血圧の変化に伴って変化する脈波形状の特徴を十分に表現できていないためであるが,他に有効な脈波形状の特徴に関する知見はまだない.そこで,人が設計した特徴抽出の処理範囲を超えた複雑な特徴抽出が可能と言われているオートエンコーダに注目し,脈波形状に秘められた新たな特徴量を見つけ出す.1363名(58.3±17.2歳)の被験者に対して,脈波と血圧の計測を行い,オートエンコーダで特徴量を抽出した結果,従来の特徴量のみを用いた場合と比べて推定精度が向上することを確認した.よって,オートエンコーダを用いて抽出した特徴量は,血圧変化と関係する新たな特徴であることが示唆された.

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© 2018 社団法人日本生体医工学会
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