脳血管内治療
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総説
海綿静脈洞 ─特にLaterocavernous Sinus について─
田上 秀一安陪 等思廣畑 優
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 5 巻 1 号 p. 28-37

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抄録

海綿静脈洞(cavernous sinus)は下垂体窩の両側に存在する硬膜静脈洞であり,動静脈シャント疾患や腫瘍性病変などの好発部位となる.海綿静脈洞は,眼窩や頭蓋内,髄膜などのさまざまな静脈還流を担う交通路であり,かつ周囲の静脈の還流形態および海綿静脈洞自体には解剖学的なバリエーションが存在し,本領域の開頭手術や動静脈シャント疾患に対する血管内治療の際にはその理解が必要である.海綿静脈洞に還流する主な脳静脈には側頭葉からの脳静脈還流を担う浅中大脳静脈や鈎静脈があり,動静脈シャント疾患の際に皮質静脈逆流をきたすルートとなりうる.両者とも海綿静脈洞には外側壁に直接,あるいは蝶形頭頂静脈洞を介して還流することが多いが,時にlaterocavernous sinus(LCS)を介して海綿静脈洞に還流する場合もある.LCS からの流出形態にもバリエーションが存在し,またLCS 自体にシャントが及ぶこともある.それらの静脈の還流形態とシャントとの関係の理解は,とくに動静脈シャント疾患に対する血管内治療において重要である.本項では,海綿静脈洞,とくにLCS の解剖と硬膜動静脈瘻について概説する.

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© 2020 特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会

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