生体医工学
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微小針電極を用いた帽子型脳波計の開発
川名 拓己吉田 有里三木 則尚
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S106_2

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抄録

脳波とは脳内神経細胞の電位変動を、頭皮上の電極から記録し増幅したものである。近年、脳波を日常的な医療に応用するための研究が盛んに行われている。例えば、脳波からの指示で車いすを運転するための制御システム、脳卒中患者が麻痺した手足を脳波で動かすデバイス等である。このような日常応用では、持ち運び可能なウェアラブル型脳波計が必要となる。先行研究において、当研究室では脳波計測用微小針電極を開発した。当電極はピラー構造により髪を避け、微小針によって高い抵抗値を持つ角質層を貫通することが可能である。そのため、有毛部において前処理無く脳波計測が可能である。本研究ではこの電極を用いて帽子型のウェアラブル脳波計を開発した。当脳波計は簡単な動作で髪をかき分ける機構と、力を調節しながら電極を頭部に押し付ける機構を有している。また被験者毎に異なる頭の大きさ、形に対応しつつ、複数チャンネルの脳波計測が可能である。したがって、どんな人でも短時間で複数箇所の脳波計測が可能である。本研究ではこの帽子型脳波計を用いて、頭頂部と左右後頭部の3チャンネルで閉眼開眼時試験を行い、3チャンネル全てでα波を検出することができた。

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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