生体医工学
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病院における電波利用に関するヒヤリハット事例
仲松 晋也
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S206_2

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抄録

病院内で一般的に利用される電波は医療用テレメータ(以下、テレメータ)である。日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業で2010年1月~2018年6月間の報告事例に対し「電波」で検索すると54例がヒットする。そのうち52例がテレメータに関することであり、内3例は死亡、3例は障害残存の可能性があるとされ、生体情報を取り扱うテレメータの電波不良は、患者急変への対応を遅らせ、命を脅かす。一方で、電波切れの原因は、電池切れ、電源オフ、装着忘れ、操作間違い、チャンネル設定間違い等、人為的な間違いが多く、「電波」という見えないものを取り扱うためには、過信せず、より厳密に運用への注意を払う必要があることが伺える。他方、明確ではないが、電波不良と思われる事例が4例存在した。アンテナの劣化が要因のひとつと推測される。一般に、院内のアンテナは長期に使われることが多く、当院では、15年以上更新をしていない。劣化は、臨床工学技士のような専門職が病院に働きかけて調査点検しなければ、現場では、気づくことができない。当院では、アンテナの劣化を危惧し、電波強度測定を行った。その結果を踏まえ、ヒヤリハットの事例を紹介したい。

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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