生体医工学
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日常活動下の心拍変動解析による自律神経機能評価の課題
早野 順一郎湯田 恵美
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S214_2

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抄録

心拍変動解析は、短時間解析と長時間解析に分けられる。前者は5分を、後者は24時間を基準とするが、両者のより重要な違いは前者が対象者の状態と測定環境のコントロール下で測定されるのに対し、後者は自由行動下で測定されることである。心拍変動は自律神経機能評価に用いられ低周波数成分や高周波数成分などの指標が使われるが、それらは短時間解析で確立されたものである。長時間心拍変動には、自律神経機能の前に、心拍数に対する心身の活動や環境因子の影響を考えるべきである。例えば24時間のSDNNは主に昼夜の心拍数の差を反映し、昼間の身体活動レベルによって規定される部分が大きい。SDNNの低下と心筋梗塞後の死亡リスクとの関連は副交感神経機能障害よりも身体活動の制限を強いられる状態によるものかもしれない。心拍変動の周波数と交感・副交感神経区分との関係も、長時間心拍変動においては呼吸数の高周波数帯(0.15-0.4 Hz)からの逸脱によって失われているかもしれない。一方、長時間心拍変動のメリットとして、記録中の睡眠時無呼吸などの偶発的事象に対する心拍数応答から自律神経の反応性の評価などの新しい試みも注目したい。

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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