2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S218_2
てんかん患者の約3割は薬物治療でも発作の抑制が困難であり、けいれんや意識障害を伴う発作による事故や受傷のリスクにさらされている。てんかん発作を事前に予測・警報するシステムが実現すれば、患者のQoLの改善が期待される。今回我々は、次に、上記のアルゴリズムを搭載したリアルタイムHRV解析・発作予測スマートフォンアプリと小型HRVセンサを組み合わせたウェアラブル発作予測システムを、症候性局在関連てんかん患者7名に装着してもらい、発作予測性能や使用感を検証した。アルゴリズムの後ろ向き検証では、症候性局在関連てんかんでは感度91%、誤検出率0.7回/時間、全般てんかんでは感度79%、誤検出率0.6回/時間の性能が示された。実装試験でも、感度86%、誤検出率0.6%と同様の結果が得られ、心電図電極貼付部位のかゆみや発赤が散見されたが、不快感や拘束感の訴えは少なかった。提案手法は脳波による発作予測法に匹敵する感度が得られ、実用性も有望であった。今後はモデリングデータを増やしてアルゴリズム性能を改善するとともに、シャツ型電極の導入によりウェアラビリティを高め、発作検知にも応用したい。